1. ヒマラヤ 紀行

旅

そこに立つと細胞が深呼吸を始める、美しく気高いヒマラヤの山々。

旅往く鞄 ヒマラヤ篇

鞄といえば旅、旅といえば鞄。
旅と鞄は切っても切れない存在です。旅好きの土屋鞄スタッフが歩んだ、忘れ得ぬ思い出の旅行記をお届けします。

ブッダと、ヒマラヤ山脈を歩いた。ブッダはとても達観していて、おおらかすぎるほどおおらかだった。ちなみにブッダは、仏のことではなくてネパール人ガイドの名前だ。そんな彼が案内する、標高約1,000mから2,800mのトレッキングコース。その道は北へ、チベットへと続き、気候や緑、通りすがる人の顔も次第に変化していく。しかし一番の変化は空と雲、そしてなにより山だった。視界がひらけるポイントで顔を上げるたび、山の表情は変わっていた。変化しないものなどない。でもここでは目に見えてそれが止まらなかった。

旅

六日間の道程で出会う小さな村々。そこに住むたくさんの人が、山を信仰していた。そしてたくさんのトレッカーが、ヒマラヤに魅了されていた。
本やテレビで見ていたそんな彼らの感覚に、日ごと私は歩みよっている気がした。今ならそのヒマラヤへの思いが、少しわかる。

ヒマラヤ

自分がちっぽけに思えるほど圧倒的な自然がダイナミックに流れるように表情を変える。
実際、ヒマラヤ山脈を生んだ地殻変動は今でも続いていて、チベット高地は年間3ミリほど隆起しているそうだ。今私が歩いているこの地面も、動いているのだ。
魅せられない人など、きっといない。

旅

旅の途中、お世話になった宿の方が「自然の中に答えはすべてあるんだ」と言っていた。
私は自然へ何かを問うために来たわけではないけれど、歩いているとその言葉がストンと心に落ちた。
私から見れば険しい環境の中で、淡々と暮らしている人。彼らはきっと無意識に人間ができることの限界を知っている。撮っても撮っても収まらない終わりのみえないヒマラヤで、私もその「限界」を感じたのだ。

ヒマラヤは、まるで私を揺らす大きな腕のようだった。その腕は、確かになにかの「答え」を持っているように思えた。その計り知れない気配を、ずっと細腕の奥深くまで焼き付けておきたい、そう願いながら歩いた。

ヒマラヤ

ヒマラヤは、インド亜大陸とチベット高原を隔てている無数の山脈から構成される巨大な山脈。エベレストを含む地球上で最も高い14の8,000m級ピーク(独立峰)があり、ブータン・中国・インド・ネパール・パキスタン・アフガニスタンの6つの国にまたがっている。
ヒマラヤにはさまざまなトレッキングルートがあり、今回はネパールの中央に位置し、初心者でも気軽にトライできるコースの多いアンナプルナ連峰エリア。

TOP