1. モンゴル紀行

旅

大地からの恵み、家族の笑顔。シンプルな幸せに気づけた、草原の日々。

旅往く鞄 モンゴル篇

鞄といえば旅、旅といえば鞄。
旅と鞄は切っても切れない存在です。旅好きの土屋鞄スタッフが歩んだ、忘れ得ぬ思い出の旅行記をお届けします。
今回は「モンゴル」の草原の家「ゲル」にホームステイした6日間。草原のことや家族との出会い、もりだくさんでお届けします。

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出会いが、旅を濃厚にした。

モンゴルの空と大地に、ずっと憧れていた。本や映像で得た知識から、想像をたくさん膨らませていた。だから「ゲル」に着いて最初の朝。初めて草原を見渡した時、今まで思い描いていたものに、音がつきにおいがつき、なんだか不思議だった。目が覚めたのに、まだ夢の中にいる感じがしたのだ。でもそこに暮らす人たちはけして夢の世界の住人ではなく、現実に根をおろして日々を生きている。

今回の旅は、遊牧民の伝統的な移動式住居「ゲル」へのホームステイが主な目的。毎日、家族のお手伝いをしながら5泊6日を過ごした。お父さんお母さんとお祖母さん、ふたりの子どもたち。一家はヤギや羊、牛を育てて暮らしている。
草原での1日の始まりは意外とゆっくりで、お母さんは7時くらいに起床して乳搾り。私は大体9時頃に起きて軽い朝食を取り、いつもお昼くらいから家の手伝いをしていた。水汲みやご飯作りや、牛のフン拾い。乾燥したフンは燃料になるのだ。

モンゴル

毎日やることはいっぱいだったけれど、時間の感覚がおおらかで、忙しい感じはしなかった。「ゲル」で唯一の時計も、1時間半遅れで針を回していたくらいだ。それぞれたまにお喋りしたりボーっとしたりしながら、日没まで仕事をする。草原での仕事は全部が必要不可欠で、「生きる」ことにストレートにつながっていて、なんだか清々しい気持ちになった。お風呂もトイレもない暮らしで、正直苦しくなる瞬間はあったけれど、日々を重ねるほどやっぱり来てよかったなあとしみじみ思った。これは家族との出会いがあったからこそ思えたこと。働き者のお母さんと陽気なお父さん。子どもたちにはたくさんの笑顔をもらって、一緒の時間はいつもニコニコしていた気がする。
日本に戻り、今では想像ではなく確かにあのモンゴルの草原と家族を思い描ける。それだけで、いつでも私はあの場所へ心を飛ばせるようになった。またいつかきっと、遠い空の下に暮らすあの家族に、会いに行きたいと思う。

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朝は、搾りたての牛乳をたっぷり入れた「スーテイツァイ」というお茶から始まる。塩が入っていて、スープ感覚で飲む。それと揚げパンのようなスナック。朝食は軽めで、昼と夜のご飯をしっかり食べるのだ。お母さんと一緒に作った「ボーズ」という蒸し餃子や、「ツォイワン」という焼きうどんなどは、みんな生地から手づくり。ストーブの火も一からおこすため、いつも2、3時間かけてこしらえる。最初は戸惑ったけれど、手伝っているうちにそれが当たり前なんだな、と思うようになった。全部の工程が手づくりだから、愛情のこもり方も違うかもしれない。基本的に料理は小麦粉+お肉という、シンプルな材料で作られたものがメイン。でも、都市部のレストランよりも数倍おいしかった。作り方を覚えているうちにまた作りたいと思う。

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焼きうどん「ツォイワン」を作る様子。ジャガイモ・人参・キャベツ・肉を蒸した後、手づくりの麺を投入。味付けは塩。日本から持参した醤油との相性もよく、美味しい。

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南側を中国、北側をロシアに囲まれた、ユーラシア大陸の内陸部に位置する「モンゴル」。国土の5分の4を占めるステップ(草原)は牧草地に使用されており、畜産は、ほとんどが遊牧で行われている。今回ホームステイしたのは、首都ウランバートル郊外。首都からは1時間半ほど車を走らせた草原の「ゲル」だ。とても乾燥した気候で、砂嵐でしばらく外にでれないこともあった。ゲルでは日々同じ仕事が繰り返されるが、そこは生き物相手、はぐれヤギやはぐれ羊など、毎日なにかしらのハプニングがあってみんなで力を合わせて解決していた。

モンゴルのお土産:左/モンゴル人男性の伝統的な帽子。馬飼いの青年がかぶっていた。 右/馬乗りの人形。

(2012年5月)

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