1. オザ・メタルスタジオ
職人 工房

鉄が再び、産声をあげる場所。

OZA METALSTUDIO
オザ・メタルスタジオ

職人

土屋鞄の実店舗やオフィスにディスプレイされている、様々な鉄の作品。実はこれ、現役を引退した鞄作りの道具を叩いて作られたものなんです。今回の特集はこうした作品を手がける、小沢敦志さんの工房を訪ねました。新たに依頼した「カードホルダー」の製作過程とともに、「鉄」という素材への想いに迫ります。

工房

今回は鞄製作に使う「穴あけ」と「抜き型」でカードホルダーを依頼。まずは「抜き型」を4つにスライスしたところから始まりました。

職人

元倉庫という工房はひんやりしたコンクリートと、モノトーンな道具たちにあふれたなんともワイルドな印象。溶接の際の青白い光や、鉄を熱する炎のオレンジは、その空間の中で強く目に焼きつきました。

工房

黙々と鉄と向き合い、
耳をかたむける。


作業は黙々と「鉄と向き合う」といった様子で、熱して、叩いての反復と磨きによる繊細な調整の連続。叩くのも、ただ力任せに潰していくのではなく、元の形を活かすために、「どこを叩いたら気持ちのいい形になりそうか」を探りながらハンマーを下ろしていくそうです。工業製品として計算された抜き型の形が、叩かれることによってフリーハンドで描いたような、自由なラインを持った形に変化してくのです。

職人

「カタチを“作る”のではなく、
“探す”人でありたいですね」


大学で様々な金工を学ぶなかで、鉄を赤めて叩く行為が一番「生きている!」という感覚になれた、と語る小沢さん。現在の製作スタイルに至ったのも、ゴミを少しでも小さくしようと一斗缶を叩いたことがキッカケなのだそうです。そこで生まれた想像を超えるカタチは、小沢さんの気分をグンと弾ませます。作品の出来上がりが予想できるものより、鉄と向き合うまでわからない、偶然の出会いが運ぶもの。そんな、カタチを「作る」のではなく、「探す」創作活動に惹かれていったのです。

職人

小沢さんは基本的に作品にはメッセージを込めないのだそうです。それは作っているうちに、段々と自分ではなく「鉄自身に発言させたい」と思うようになったから。脊髄反射のように、何か分からないけどやってしまうこと。それと同じように考えるより前に、手がのび、叩く。そうすることによって、鉄自身がより自然と個性を持っていくのです。しかし作品を見る側としては、メッセージではないにしろ、小沢さんの無意識下にある想いやその「時」の空気感も、そっと鉄に宿っているように思えました。

職人

あたたかく脈打つような、
“生きたカタチ”を目指す。


創作活動の他に、受注の仕事もしている小沢さん。土屋鞄でもこれまで多くの鞄作りの道具を叩いて頂きました。道具の印象を伺うと、「機能だけがある、媚びていないカタチ」という言葉。たまに「叩かなくても、このままで美しい」と思うものもあるそうです。でも、小沢さんはどこかに必ず叩きを入れていきます。それはやはり「熱する火が素材にとっての体温に、そして叩くという行為が素材の脈拍に変わっていき、最終的には冷たい印象の工業製品が“生きたカタチ”になってくれたらいい」という想いから。確かに今回の「抜き型」も、叩かれることによって「カードホルダー」の機能を持ち、お客さんの目に触れる存在として生まれ変わりました。でもそれは全く別の物になったのではなく、鞄作りの記憶を残した唯一無二のカタチ。記憶がある、という要素はどこか生き物のようです。破壊的に捉えられがちな“叩く”という行為。しかし、小沢さんの一振り一振りにはなにかを生み出す力を感じることができました。


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url. http://ozametal.com/

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