1. 季節の暮らしかた - 暮らしのなかで愛でる「秋の七草」 -

暮らしのなかで愛でる「秋の七草」

見上げる空が高く澄み渡り、爽やかな風が吹き抜ける頃。秋にも「七草」と呼ばれる草花があるのをご存知でしょうか。春の花の華やかさとは違う、どこかもの寂しさが混じるような凛とした美しさを持つ七草は、古く万葉の時代から人々に愛されてきました。詩歌に詠んだり、茶席や空間のしつらえにしたり。そんな秋の七草を今の暮らしのなかにも取り入れて、楽しんでみませんか。

詩情を感じる佇まい

「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」

「菜の花 尾花 葛花 なでしこの花 女郎花(おみなえし) また藤袴 朝がほの花」

秋の七草は、歌人・山上憶良が「万葉集」の中で詠んだ二首の歌が由来であると言われています。これは1つ目の歌で「秋の野に咲いている草花を指折り数えると、7種類ある」といい、2つ目の歌で、その7つの草花の名前を詠っています。

※左から、「尾花」(ススキ)、「撫子」、「女郎花」、「藤袴」、「萩」、「桔梗」、「葛」

よく知られている春の七草は、無病息災を祈り、正月7日に七草粥にして“食べる”もの。一方で秋の七草は、その繊細な美しさを“鑑賞”して楽しむものとされてきました。野山や庭に咲き誇る七草が秋の風にそよそよと揺れる様子や、月明かりに照らされて凛と佇むその姿に、いつの時代の人たちもしみじみとした詩情を感じながら、心をほぐしてきたのでしょう。

自然な姿を鑑賞して楽しむ

そんな秋の七草は今も変わらず私たちの身近に咲いていて、街の花屋さんにはもちろん、道すがら足元に目を向ければ、その素朴で可憐な姿を見つけることができます。同じ時期に一斉に咲くのではなく、お盆を過ぎた頃から晩秋にかけて順々に咲いていくため、自然の草花がもたらしてくれる季節の味わいを長く楽しめるのもうれしいですね。

朝、目が覚めてカーテンを開けた窓辺や、家事を終えて一息ついた机の上に季節の草花があると、ふっと心が穏やかになるものです。野趣あふれる七草だからこそ、自然なしつらいで。普段使いの器に生けたり、リネンの糸でくるっと束ねて飾ってみませんか。

生ける


小ぶりで可憐ながらも存在感のある「撫子」。
いつものテーブルに置くだけで、その場がふわりと和らぎます。

黄色い小粒の花が集まる「女郎花」は、秋の澄んだ光がたっぷりと降り注ぐ場所に。
ジャムやワインの空き瓶にポンと挿すだけで、絵になります。

小さくて繊細な花を付ける「萩」は、丸い平皿に一輪だけ。
すっと直線を描く様を見ていると、心まで伸びやかに。

スケッチする


じっくりと眺めたくなる、愛らしい星型の「桔梗」はスケッチのモチーフに。
感じるまま色を付けて、"小さな秋"を描きます。

束ねて飾る


リネンの糸でくるくると束ねれば、簡単にふさふさのスワッグの出来上がり。穂の部分が狐の尾に似ていることが名前の由来だという「尾花」(ススキ)をたっぷりと使って。壁に飾るだけで、秋の風情を運んできてくれます。

end

暮らしの風景のなかにすっと溶け込む、秋の七草。はるか昔の時代から、人々は野山や道端で七草を見つけては、手のなかに包み込むようにして慈しんできたのでしょう。自然の草花に心を寄せること。それは昔も今も変わらず、季節の味わいをゆっくりと深めてくれます。


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