1. ストーリー・土屋鞄 第1話
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第1話

気仙沼を訪問

夏のはじめの、7月初旬。
土屋鞄の職人・阿部とデザイナー・丸山は、東京から新幹線とJR大船渡線を乗り継ぎ、宮城県気仙沼市を訪れました。

その目的は、「気仙沼ニッティング」の編み手の皆さんにお会いすること。
セーターを編んでいる様子や愛用の道具を見せてもらい、贈る物のアイデアやイメージを膨らませたいと考えました。

気仙沼の町は、言わずと知れた東北地方の港町。遠洋漁業が盛んで、海で世界とつながっています。そのためか、地元の人たちはオープンで、国際的で、どこかハイカラな人が多いんだとか。
漁船が浮かぶ海だけでなく、町を見守る大きな山々もあり、どこか心がほっとする、のんびりとした空気が流れています。

そして、阿部と丸山が到着後に最初に向かった先は、直営店の「メモリーズ」。セーターから小物まで、「気仙沼ニッティング」が手掛ける全ての商品が見られるそう。

お店は気仙沼駅から車で約10分。広い海を一望できる小高い丘の上にあり、海の色を彷彿とさせる、青い壁が目印です。

中に足を踏み入れると・・・。心がぱっと弾むような、色とりどりのセーターがずらり。
目の覚めるような鮮やかな赤。きりっとシャープなイエロー。深く澄んだブルー。
色を見るだけでも、わくわくしてきます。

触り心地はふんわりと柔らかながらも、どこか芯のある感じを受け、一つひとつ、襟元や模様の出方が微妙に異なるのは、編み手さんそれぞれの個性が表れている証拠。
それぞれに表情があるからこそ、手編みならではの味わいがあります。

店の一番奥に大事に飾られていたのは、「気仙沼ニッティング」の顔で、ファーストモデルの「MM01」。
くっきりと立体感のある編み模様が美しく、特別な存在感を放っています。

「これは編むのが難しそうだな」「模様が際立っていますね。どんな風に編んでいるのか、見るのが楽しみ」と、「MM01」を前に、阿部も丸山も興奮気味。
眺めるだけでなく、手で感触も確かめながら、一目ひと目の細やかさに見入っていました。

お店を出た後は、編み手さんたちが集まるお待ちかねの「編み会」へ。

編み手の皆さんは、基本的に担当する商品を自宅で編みますが、週に1度は会社の事務所に集まって、分からないことを確認し合ったり、検品作業をしたり。
大勢の女性たちが集まるせいか、家族のことや町のことなど、おしゃべりにも花が咲きます。

まずは、編み手のリーダーであり、編み物の先生役も務めるじゅんこさんが代表して迎えてくださいました。

その後は、編み手さん一人ひとりに編んでいる様子や愛用の道具を見せてもらいます。
ものづくりの現場に来て、職人としての血が騒いだのか、阿部は編み手さんの手元に興味津々。

「編むスピードが、早いね〜」「とても細かい仕事だな〜」と感心するばかり。

毛糸に絡まっている細かな繊維を取り除く作業を前に、「素人には、繊維なんて全然見えないよ」と笑います。

こうした小さな作業にも全く手を抜かないのは、手編みのセーターが届くのを、首を長くして待っているお客さんのことを想ってこそ。

「何ヶ月も待っていてくれているお客さんのことを考えると、いい加減な仕事はできませんからね」と編み手さん。この言葉に、ものをつくる同士として心から共感できたのか、阿部は深く頷いていました。

さて、この日拝見した編み手さんの様子や道具を参考に、阿部と丸山の頭の中には、どんな贈り物のアイデアが浮かんだのでしょうか。

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