1. スイス土産の、小さな道具箱。

ビクトリノックス ミディアムマルチツール
“キャンパー”
(ブラックは日本未発売モデル)

STAFF / TAKESHI FURUYA
愛用歴30年ほど

友情と思い出が詰まった、
スイスの“小さな道具箱”


大学生の時、幼馴染みからスイス土産でもらったマルチツール。手のひらサイズのボディに13ものツールが詰まった、まさに“小さな道具箱”という感じのアイテムだ。幼馴染みは、私が高校までボーイスカウトの活動をやっていたのを覚えていて、買ってきてくれた。その友情が嬉しくて、ずっと大事に使っている。数々のツールがパズルのように詰め込まれた、精密なつくり。これ一つでさまざまな作業をこなせる万能感にワクワクした。

当時の子どもにとって、ナイフは冒険心とたくましさを象徴するアイテムだった。そして、ボーイスカウトの活動で「ナイフを使う許可」を授けられるのは、一人前の証。先輩たちがテントの設営などで使いこなしている姿がまぶしく見え、憧れたのを覚えている。だから、自分がナイフを使えるようになった時は、なんだか誇らしく、ぐんと大人になった気がしたものだった。

もらってから20年後、ボーイスカウトの活動を再開した私は教える立場になっていた。手に馴染んだ愛用のマルチツールは、頼れる相棒であると同時に“教材”としても大活躍。道具を使って「できる」ようになる楽しさと、道具を使わせる「信頼」の気持ちの両方を、子どもたちに伝えてくれた。便利な道具が簡単に手に入る時代になっても “小さな道具箱”を見るときの、子どもたちの目の輝きは変わらない。

再びボーイスカウトの活動から離れた今も、机の引き出しにはこのマルチツールがいる。ボディに刻まれた無数の細かな傷は、雨に濡れ、泥にまみれながら子どもたちと過ごした日々の勲章。でも、いまだ壊れる気配のない元気な相棒は、メンテナンスをするたびに「まだ遊び足りない」と文句を言いそうな気がしている。自分もそうだ。だからこれからは、一度やってみたかった単独のキャンプで、ガンガン使ってみたいと思っている。


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