1. 福田 悠美子さん フクダカヨさん
インタビューふと暮らしの中で顔をだす、世代を超えた価値観。

フクダカヨさん (http://enikki.cocolog-nifty.com/)
人間てかわいいな、と思わせてくれる独特の視点とタッチが素敵な絵日記作家。
福田 悠美子さん
カヨさんのお母さま。お茶の先生をやる傍ら仕舞の稽古にも通う。
ブレない、芯の通った女性。
インタビュー
ふたりのまなざしはなんだか似ている。それは見た目のことだけではなくて、人や物との向き合い方……ベースラインが同じように思えるのだ。お母さまの言葉で特に印象的だったのが「教えるっていうことは、して見せることではなくて、している、ということそれ自体」という言葉。例えば毎日の習慣や、四季折々の行事。カヨさんが東京で家族と暮らしているなかで、ふと思い起こすことがあるという。お洋服がサイズや場面にきっちり合っているかどうか、食卓ではそれぞれを小皿に分けているかどうか。金沢という土地柄もあり、お母さまはきちんと準備を整えることを大切にする。思い起こすたび意識するが、お正月等の行事の際はなるべく子どもたちと金沢に帰省するようにしているそうだ。また、考え方の面でも、自然に受け継いでいるものがあるように感じられた。

例えばイラストレーターとして活躍中のカヨさんは、お母さまが嫁入り道具として持ってきたサザエさんの本に多大な影響を受けているという。「生活の全てが入っているようで、大好き。簡単に言っているけど、よく考えると深いんです」とお母さま。今ではカヨさんの娘さんたちも読んでおり、サザエさん好きは3世代に渡っている。カヨさんの描く絵日記も暮らしの中のこと。クスリと笑えて、たまにハッとさせられる感覚は、サザエさんに共通しているものがある。
インタビュー上 : キッチンには、お母さまから譲りうけた食器や籠等がずらりと並ぶ。
思い出いっぱい、でそれぞれ今日も現役で活躍中。
下 : 2つに分けてリメイクしたタサキ真珠のネックレス。


そして、今回カヨさんのご自宅で見せてもらった家具、食器や籠、ちょっと特別なときに身につける真珠のネックレスたち……。たくさんのモノがお母さまから譲り受けたものだという。珈琲カップには小さな頃の朝食、籠には山登り。それぞれに思い出が宿っていて、それは全て今も現役。真珠はお母さまが使っていたものを、カヨさんとお姉さん用にふたつに分けてリメイクしたものだそうだ。お母さまから受け継いだ物語を、また次の物語に繋ぐ。特別なことはなく、ただそうしている。そうやって暮らしていくことが自然と繋がっていくのだ。「子どもたちも、ピカピカの真っ白なものは苦手みたいで。ひとつひとつ代々使っていくことになるんじゃないのかな」と、何気ないカヨさんの言葉に世代を超えていく価値観を感じた。「キレイは一瞬、美しいは積み重ね」隣で聞いていた夫の英樹さんの言葉がおふたりの話にしっくりときた。こうして物語を生きて、人やモノは美しくなるのだ。

(2015年10月)
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