1. 谷本 隆さん 谷本 夏さん 
インタビュー違う個性。でも同じスタンス。仕事の中で受け継がれるもの。

谷本 夏さん
カメラマン。場の緊張を解かす雰囲気づくりで、夏さんが撮影する人物は抜群の表情。
谷本 隆さん
夏さんのお父さま。同じくカメラマンとして活躍中で、物撮りを得意とする。
この日はご家族みんなで撮影にご協力頂きました。
インタビュー撮影現場、被写体によって取り替えつつ共有で使用しているカメラ。
片方には土屋鞄のヌメ革カメラストラップ(製作終了)を装着中。


ポンポンとテンポ良く掛け合いが進む。気づくと喧嘩のようになって、周りは少し不安な気持ちになるが、それはいつものことらしい。カメラマンとして活躍中の谷本さん親子。どうして今の仕事をするようになったのかと聞くと、両者とも劇的なきっかけはなく自然と志すようになったという。お父さまの隆さんはカメラ好きの祖父の影響で、夏さんはお父さまの仕事を手伝うようになったのがきっかけだ。「全然写真に興味はなかったんですよ、でもあるときせっかく機材もあることだし、撮ってみようと思って。そしたら親父がそれを見てふーん、って言うんです。なんか、見返してやろう!とそこで強く思ったんですよ。それからしばらく必死でやりました。親父がもしいなくなっても今の仕事を僕が引き受けられるようにならなきゃっていう気持ちもありましたし」と、夏さん。

そこで、どうやって学んだのかと聞くと、具体的にお父さまから技術的に学んだことはない、という返答だった。隆さんも「手取り足取り教えるっていうことはなかったかな。決まった法則のようなものがあるわけでもないし。でも仕事をするときはデザイナーやディレクターとか、いろいろなスタッフがいるから、そういう方たちとの接し方とか、総合的なところの空気感みたいなものは、言葉ではないカタチで教えたかもしれないな」と振り返る。「職人さんの世界でもそうかもしれないけれど、何でああいう風にやるんだろう、とか自分で考えて調べてやってみないと、育たないですよね。実感して初めて身につくと思うんですよ」技術は、まず学ぶ姿勢がないと身につかない。夏さんの実感がこもった言葉だった。
インタビュー
また、おふたりは親子で先輩後輩の仲でもあるが、間に流れる空気感はとてもフラットだった。それは、ベースの姿勢や現場への思いや考え方が一緒だからかもしれない。「あくまでもアーティストではなく、記録係だと思っている」「関わっている人が楽しかったと思える現場を作りたい」という夏さんの言葉に頷く、隆さん。お互い性格も得意分野も違うが、一緒に仕事をしているうちに、次第に同じ思いを共有するようになったのだ。「父が持っていたものを受け継ぎつつ、クライアントが求めるアウトプットを追及していきたいです」。これ、という説明はできないが、夏さんの言葉や仕事の内に、お父さまのカメラマンとしての姿勢がきっと根付いている。

(2015年10月)
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