1. 樋口 彩土さん/デイリートート
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Work Tips 03.ランドスケープアーキテクト 樋口 彩土さん

人の動きや、気づきの場を生む仕事。たくさんの人と繋がり、悩み、空間を作っていく仕事。様々な側面をもつ「ランドスケープアーキテクト」という仕事について、お話を伺いました。感じたのは、出会いを大切に、価値観の違いを楽しみながら前に進んでいく姿勢。日々の働き方を改めて省みるようなエピソードが続出でした。

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人が好きじゃないと、人の面白さは見つけられない。 興味を多く持つのは、とても大切です。


最近ではまち作りに関わる仕事を多くしています。まちを作っていくといっても色々な方法があって、僕がやっているのは小さなエリアからあるものを作ることによって、そこからまちに手を伸ばしていくようなやり方です。大きな計画をして作業を分化していくという方法が一般的ですが、出来る限り多くの人と一緒に進めます。そして、最後まで自分たちが手がけた公園や庭などがまちとどう繋がるか、というところまで関わりたいんです。

今は福井県のとあるキャンプ場を手がけているんですが、そこがまさに小さいエリアから手を伸ばしていく感じです。キャンプ場から川や山に続くルートを計画して、おりた先の川でラフティングができるようにしよう、とか。そうするとインストラクターが必要になって、雇用が生まれるんです。でも冬場はどうしようか……と話も計画も発展していく。小さいところからちょっとずつ手を繋いでいって、人も引き連れていく。そういうのが僕の好きなまち作りですね。それとハードだけでなく人が大切です。キャンプ場に薪を切っているおじいさんが普通にいるとか、そういう光景も大事にしたいですね。落ちている木もちゃんと切って1年乾かせば薪になって売れるんだっていうのを、キャンプ場に来た子ども達に自然に知ってもらいたいんです。見世物のようにこれって大切だよ!とアピールするのではなく、地元の人にとって無理のない形で始めて、そのまちにある日常を含めて子ども達に体感してもらいたいですね。

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そういう面で外から来た人の視点ってとても大事なんですよ。地元の人にとっては当たり前のことがすごく面白かったりするんですよね。だから今はよく名人を教えてよって言うんです。それは野菜作り名人でもいいし笛吹き名人でも良いんですが……そういう人たちがまちの資源だと思うんです。この前出会った熊撃ち名人の話なんて、本当に面白かったですよ。しかも聞いているうちに、これってキャンプ場の活動に繋がるんじゃないかなあと思ったりするんです。毎回、決まったネイチャーガイドでなくても、そういう地元の名人が案内してくれたら面白いんじゃないかなあとか。森を散策しながら「この笹は熊が食うんだよ」とか、聞けたら単純にワクワクしますよね。こういう発見て、外から来たからこそできることだと思うんですよ。だから日々、アンテナの張り方は気をつけていますね。やっぱり人の面白さを見つけるには、人が好きじゃないと難しいと思います。この人の話面白いな、聞いてみたいなっていうこちらの姿勢がないと、話すほうも乗り気になれないですから。柔軟に、興味を多く持つというのは本当に大切です。

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仕事では、多様な価値観や意見を集約していく局面が多くあります。予算も時間もある程度限られている中で、毎回場所も状況も異なり、一般論というのは意外と正しくない事もあるんですよ。例えば公園に欠かせないトイレの問題とか、「多目的トイレを作ればいい」で終わらせないで、もう一度みんなで話し合ってみると思いもよらない意見が出てきたりするんです。そういうのをまとめていくのは勉強になるし、とても面白いと感じます。僕の仕事はその連続です。色々な人が関わるから、本当に議論は引いたり押したり。お相撲さんのようですよ(笑)。でもそうした根気がいる作業も楽しめばいいんです。まあ、もちろん地味な作業もいっぱいあるんですけどね。朝までずっと事務所にこもって模型を作ることもあれば、報告書も書きますし……。出張の話をすると「楽しそうだね」なんて言われるんですが、いろいろな側面があって、全部が影響しあっているんですよ。

この鞄は、そういう毎日の相棒です。今は福井県に月3〜4回ほど行っていて、その時にもよく持っていきます。一泊二日が多いので基本は資料だけ持っていく感じですね。パンパンに入れてもジッパーがついているので安心なんですよ。結構がさつに扱ってしまっているんですが、しっかりしていてあまり汚れも目立たないのが嬉しいです。何にでも合うこの色にしてよかったなあと思います。あんまり考えないでサッと入れられるのがいいですよね。朝7時台の飛行機に乗る朝は、なるべくシンプルに身支度を整えたいですから。あとは革の表情も、まち作りのプロジェクトが進むほどいい味わいになるんじゃないでしょうか。仕事も鞄も、これから益々楽しみです。

トーンオイルヌメ デイリートート

(2014年12月)

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