1. 革のなるほど。 vol.33〜


革のなるほど。

知ると誰かに話したくなるような、
革などにまつわるエピソードやまめ知識をご紹介します。

革
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日本の伝統楽器・和太鼓は、太いバチで力一杯叩かれるという世界有数のタフな打楽器です。その両面に張られているのは、天日干しした後に数ヶ月も寝かせた牛の生皮(鞣されていない皮)。この皮はバチの打撃に耐えられる張りと固さに加え、限界まで伸ばせるしなやかさも持っているのですが、そのポイントは天日干しの前に行われる脱毛の際に、ある日本的な素材を使うことです。

それは、米糠。これを水に溶かして発酵させ、そこに原皮を漬けてバクテリアの作用で毛根を緩めます。すると、原皮の線維と油脂を壊さずに脱毛できるので、太鼓皮としての強度を保つことができるのだそうです。ちなみに、この米糠の主な供給元は酒蔵。酒米の精米で出る糠を二次利用するのです。祭りと太鼓と酒がこんなところでも繋がるなんて、縁は不思議なものですね。

革
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「こどもの日」の菓子といえば、餡入りの餅を柏の葉で包んだ「柏餅」でしょう。この「柏」はブナ科の団栗の木で、本来の漢字は「槲」。英語でいうオークの木の仲間ですが、この木は世界各地で良質なタンニンの原料として珍重されてきました。日本でも、かつては魚網の渋染めや革の鞣し剤として貴重な資源であり、1877年の第一回内国博覧会でも特産品として出品されるほどでした。

日本では槲のタンニンは樹皮から採っていましたが、古代エジプトでは、槲の芽にできた「没食子(もっしょくし)」という虫こぶ(gall)も鞣し剤として使われました。これはタマバチという寄生蜂が産卵した部分にタンニンが凝集してこぶになったもの。樹皮よりもタンニン濃度が高いため非常に貴重な鞣し剤であり、水溶液が鉄分と反応すると黒くなるためインクの材料にもなりました。

革
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秦の始皇帝が統一する400年以上前(今から2,700年ほど前)の中国に、百里奚(ひゃくりけい)という、90歳近い高齢の老貴族がいました。彼はある国の大臣でしたが運悪く滅ぼされ、別の国に捕らわれた後、秦国に送られます。その秦の国王は百里奚の才を見抜き、大臣にしようとしますが、彼は逃げ出して楚(そ)という国で奴隷にされてしまいます。

秦王は百里奚が楚国にいるのを知り、彼を買い戻すことにしました。しかし高齢の彼に宝物を出すと怪しまれると考え、何とたった5枚の羊皮で連れ戻します。秦に帰った百里奚は大臣になって善政を行い、100歳近くまで生きて国を繁栄させました。そんな彼を、国民は親しみを込め、「五羖大夫(ごこたいふ)=羊皮5枚の大臣」と呼んだということです。

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革のケアオイルの主成分として使われるオイルには植物性・動物性、鉱物性に合成性と様々なタイプがあります。それらの中でよく使われるものに、「ラノリン」という黄色味を帯びたラード状の油脂があります。これは実を言うと、羊毛の表面を包んでいる皮脂の主成分。カットした羊毛を洗浄する際に得られる油脂を精製して得られるもので、羊毛を乾燥や寒さなどから守る成分です。

このラノリンは古来より、化粧品の材料として珍重されてきました。浸透力が高いので角質層まで浸み込み、保水力が高いため保湿効果が豊かで、肌を柔らかで瑞々しくするのだそうです。これらの保湿力・浸透力の高さはそのまま革にも発揮されるので、革用のケアオイルとしても有効だというわけです。特に羊革のアイテムなら、ラノリン入りのオイルの方が革も喜ぶかもしれませんね。

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