1. No.23 みんなの入り口

革職人

コツコツつくって50余年の工房を、ウロウロとしてみます。
つくる職人、使う道具、できあがったものに近づいたり離れたりしながら、
工房の音や声、匂いを綴るコラムのような、ちょっとしたよもやま話です。

工房

2014/03/11

みんなの入り口

朝の「おはよう」、帰りの「お疲れさま」。毎日必ずみんなが顔を合わせる工房の入り口に、職人たちの少し懐かしい写真が並んでいます。今まで何度か引越しをしている土屋鞄の工房。現在の西新井には2007年に移転してきました。この大きな写真は花畑という町にいた頃のもの。「ハナバタケ」ではなく、「ハナハタ」と読みます。

最寄り駅から、バスに揺られて20分ちょっと。ごく普通の静かな住宅街にあった小さな工房には、梁や床の木の匂いと、革や糊の匂いが漂い、大きな窓からたっぷりと優しい光りが注ぎました。目の前にあった小学校の下校の時間になると、ベタッとガラスに張りつき工房を覗く子どもたち。職人たちは「お帰り~」と、手を振ってご挨拶。そんな素朴でささやかな楽しい思い出とともに、高齢になり引退したベテラン職人たちの記憶がたくさん詰まっている場所でもありました。

新しい工房に集った、新しい仲間たちと一緒に、続いてきた時間の先を、また一歩進んでいこう。大きな写真にはそんな気持ちを込めています。ものづくりの先輩たちに見守られながら、さぁ今日も明日も、はりきってつくりましょう。


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