1. No.22 愛着が集まる部屋

革職人

コツコツつくって50余年の工房を、ウロウロとしてみます。
つくる職人、使う道具、できあがったものに近づいたり離れたりしながら、
工房の音や声、匂いを綴るコラムのような、ちょっとしたよもやま話です。

工房

2014/03/04

愛着が集まる部屋

パシャパシャとシャッターの音がする扉を開くと、アンティークの机や椅子、本やカメラといった、時代を感じる道具たちが所狭しと並んでいます。古い革のトランクは蚤の市で出会ったものです。昔の職人の技術を研究したいという気持ちと、使い込まれたものが持つ独特の貫録にひと目惚れ。ハンドルから「時間」がじんわり伝わります。

職人が心を込めてつくる土屋鞄の鞄や小物たちも、持ち主に長く愛されるものであって欲しい。もちろん、ものにはある程度の寿命はありますが、持ち主と一緒に生きていく素材を丁寧に選び、傷や汚れも記憶のひとつとして美しく刻まれる。そんなデザインやつくりを目標にしています。

「大切に使われたもののもつ美しさへの憧れ」と、「時間の相性」とでも言いましょうか。工房の2階にある撮影のための小さな部屋には、愛された道具たちが自然と集まっていきました。仕上がったばかりの鞄や小物の新しい革の匂いが、古い机や椅子の上で、ふわりと香っています。

「長く長く、愛されますように」。願いを込めて、今日も撮影スタッフはシャッターをきります。


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