1. No.21 色の足し引き

革職人

コツコツつくって50余年の工房を、ウロウロとしてみます。
つくる職人、使う道具、できあがったものに近づいたり離れたりしながら、
工房の音や声、匂いを綴るコラムのような、ちょっとしたよもやま話です。

工房

2014/02/25

色の足し引き

美しいグラデーションの色の宇宙と睨めっこしている新人デザイナー。わずかな色の違いを見極めながら、デザインに必要な資料づくりです。鞄や小物をデザインするには、革、糸、コバ(革の切り口)など、いくつもの色の重なりを想像します。

「新人のときには、すごく迷いました。革の切れ端の上に糸の束を重ねると、目を細めては近づいたり離れたり。それでも決断できないときには、職人さんにミシンをかけてもらって、やっとイメージがつかめることも。今はパっと直感で組み合わせます」と、先輩のデザイナーが話します。10年近い経験を積んだデザイナーは、色の職人と呼べるかもしれません。

カジュアルにも、エレガントにも、その印象をがらりと変えてしまう細いステッチが持つ色のマジック。経験豊かな「色の職人」を目指して、頭の中に広がる感性のパレットで繊細な色を足したり、引いたり。美しい組み合わせを探し始めた、新人デザイナーの姿でありました。


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