1. No.19 片隅の工夫

革職人

コツコツつくって50余年の工房を、ウロウロとしてみます。
つくる職人、使う道具、できあがったものに近づいたり離れたりしながら、
工房の音や声、匂いを綴るコラムのような、ちょっとしたよもやま話です。

工房

2014/02/11

片隅の工夫

ミシンの正面右上あたりに貼りついた、ミシン針が並ぶ小さな革のポケット。今日は「ハリポケ」と呼ぶことにします。ミシン針をササッと交換するために、職人がササッと余り革でつくりました。ハリポケにマジックで書いた記号は、針の太さや針先の形を表しています。

一番上と真ん中の数字は太さです。Sは、切り込むように刺す菱針です。右端のPCLという針も菱針の一種。針先の角度の違いでタイプが異なり、ステッチラインや強度が変わります。丸は、文字通り針先が丸い丸針です。ストンと丸い針穴ができる丸針は、生地など柔らかな素材に使います。

つくる鞄の種類が多くなるにつれ、それぞれを美しく仕上げるために少しずつ増えていった針の種類。折れたり先が丸くなったりした、よく働いたお役ご免の針に代わって、次の針が颯爽とハリポケを出ます。

工房のあちらこちらに溢れている丁寧な仕事のための職人のひと工夫。今日はミシンの片隅のお話でした。


TOP