1. No.16 記憶の形

革職人

コツコツつくって50余年の工房を、ウロウロとしてみます。
つくる職人、使う道具、できあがったものに近づいたり離れたりしながら、
工房の音や声、匂いを綴るコラムのような、ちょっとしたよもやま話です。

工房

2014/01/21

記憶の形

職人の机の上で見つけた小さな鞄。ずいぶん前に販売していた懐かしい鞄のミニチュアなんです。ペンやマジックが入れてありますが、文具入れにしては本格的なつくり。コバ(革の断面)も磨かれています。

「プレゼント用に作ったんだよ」。そう言って、少し照れる職人。「以前に販売していたこの鞄をね、とっても気に入ってくれていたスタッフのお祝いに贈ったんだよ。この鞄は、僕がデザインしたから、とっても思い入れのある鞄なんだ。実際に使ってくれていた本物の鞄と同じように手をかけちゃったな」。

手のひらに乗る可愛らしいミニ鞄。ペン入れほどの小さなサイズですが、そこに込められた職人の気持ちは大きな鞄へ込める想いと同じサイズ。手のひらに乗せて嬉しそうに微笑むスタッフの顔が浮かんできました。

これは数個つくったうちの残りの一つ。ちょこんと、可愛く机の上に座って今日も職人の姿を眺めています。


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