1. 革のなるほど。 vol.24〜


革のなるほど。

知ると誰かに話したくなるような、
革などにまつわるエピソードやまめ知識をご紹介します。

革
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年末の大掃除で、マイカーの洗車を行う方も多いでしょう。その際、ボディに付いた洗剤や水分を拭き取り、その後を磨くのに最適な素材として、昔から「セーム革」という天然皮革が使われてきました。これは元々、アルプスのカモシカの皮を魚油で鞣したもので、今では鹿や羊の皮で仕立てたものもセーム革と呼びます。中でも最上質とされるのは、キョンという中国の鹿のものです。

その一番の特徴は、何と髪の毛の15万分の1という超極細の繊維構造。人工繊維など論外の緻密さで優れた吸水性を発揮し、油や汚れを面白いように吸着します。また繊維が柔らかいため傷を付けず、油脂を含むため艶出し効果も抜群です。さらに特異なのが、革なのに何度も水洗いでき、ずっと柔らかさを失わないという性質。まさに洗車にうってつけの、驚きの革素材なのです。

革
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2月3日は、「節分」。この日は季節の変わり目で邪気が発生するため、「魔滅」にかけた豆まきをする習わしがありますが、この行事の主人公(?)である鬼はなぜかトラの皮のパンツを履いています。他にも皮を採れる動物はいっぱいいるのに、なぜわざわざ日本にいないトラの皮を選んだのでしょうか? その理由は、古代中国から伝わってきた方位思想にあります。

中国の「陰陽五行説」では、悪い方角「鬼門」を北東としていました。これを、「子(ね)」を北に配した十二支の方位に当てはめると、「丑(うし)」と「寅(とら)」の間になります。そのため、「鬼」は牛の角にトラ皮のパンツになったのです。なお、桃太郎の鬼退治に犬と猿とキジがお伴するのは、丑寅の反対側にある3つの方位が、「申酉戌(さる・とり・いぬ)」だからだそうです。

革
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冬季五輪の開催地・ソチがあるロシアの民族数は、実に180以上。そのうち、アムール川流域(中国領も含む)で生活している少数民族に「ナナイ(Nanai)」がいます。彼らは中国の人々から「魚皮韃子(魚の皮をしたタタール人)」と呼ばれていましたが、これは彼らが魚の皮の服を着ていたため。その魚皮服は刺繍が特徴で、特に祭事で着用されていたようです。

服作りに使われた魚は、サケやマス、ナマズやチョウザメなど。その皮を平らな板に張って完全に乾燥させ、木槌で入念に叩いて柔らかくしてから使います。この魚皮作りは全て女性の仕事で、鹿などの動物から採った腱を糸にして繋ぎ合わせ、服に仕立てていました。ちなみに、ほとんどの魚皮の服は冬用だったようですが、なぜかチョウザメの皮の服だけが夏用だったそうです。

革
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現代では、男の力仕事の印象が強い皮鞣しの仕事。ところが縄文時代には、なんと「お母さん」の仕事でした。その証拠は、遺跡から出土した歯の形。出産経験のある女性の歯の多くが、平らに磨り減っているのです。これは歯で噛んで皮の繊維をほぐしながら、唾液で鞣していたと考えられるため。つまり、最古のタンナー(皮鞣し職人)は「お母さん」だった可能性が高いのです。

ちなみにこの素朴な皮鞣しの方法は、アラスカ先住民など北方諸民族の間に今でも残っています。それはタンニンの原料となる植物が手に入りにくいためで、アザラシなどの皮を口に含んで何度も噛み、柔らかくしながら唾液で鞣しています。そしてこの仕事を担当するのは、男たちが狩りに出る間、家を守る女性たち。ここでもやはり、皮を鞣すのは「お母さん」たちなのです。

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結婚50周年は「金婚式」。では、3周年は? それはなんと、「革婚式」です。日本では知られていませんが、欧米では結婚3周年のテーマが伝統的に「革」。ですので、夫婦で革製品を贈り合うことがあるそうです。では、なぜ結婚3周年が「革」なのでしょうか? それは中で線維がしっかりと結び付き合い、使うほど柔らかさと温かみを増す性質が、理想の夫婦像を思わせるからです。

ただ国によって、結婚3周年に革を贈る意味が若干違います。例えばドイツやロシアでは、互いの理解が深まって「皮膚」のように身近な存在になったことのお祝い。他の国では、互いの欠点が見え始める時期なので、結婚当時の気持ちを思い出して改めて愛情をフレッシュに……という意味なのだとか。いずれにしても、革のように温かく強い関係を築こうというのは、共通のようですね。

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