1. 革のなるほど。 vol.19〜


革のなるほど。

知ると誰かに話したくなるような、
革などにまつわるエピソードやまめ知識をご紹介します。

革
革

「タンニングマシーン」「タンニングローション」などに見られるように、英語で「日焼け」を「タンニング」と言います。ところが実はこの言葉、元は「皮鞣し」という意味として使われる言葉なのです。「タンニング(tanning)」は「皮を鞣す」という意味の「タン(tan)」から派生した言葉で、皮を鞣す職業を「タンナー(tanner)」、皮を鞣す工房を「タナリー(tannery)」と言います。

“tan”の語源は古代ローマ時代にイタリア北部で話されていたゴール語で、「オーク」を意味するものでした。オークの樹皮は古来より皮を鞣すのに使われていたため「皮を鞣す」の意味が加わり、さらに革の色が変化してゆく様と似ているため、「日焼けする」の意味も持つようになったようです。なお、植物の渋の成分「タンニン(tannin)」は、「皮を鞣す働きを持つもの」という意味です。

革
革

バイクに乗車する際に着用が義務付けられているヘルメットは、今では軽くて頑丈な特殊樹脂製が主流。でも数十年前には、なんと革製のヘルメットが存在しました。そしてその中で最高級とされたのが、実はバッファローレザー(水牛革)。バイカーの間では、水牛革のジャケットとヘルメットが憧れの的だったそうです。

水牛革は牛革よりも分厚く強靭で緩衝性に優れ、身体に馴染みやすく、保温性も高いのが特徴。これらの性質が、バイカーの身体を衝撃や寒さから守るヘルメットやジャケットにぴったりだったのです。また、表面に細かなシワ模様が無数に走るワイルドな表情も、バイカーの男心をくすぐったのでしょう。ちなみにヴィンテージの水牛革ヘルメットは、今でもオークションで人気が高いそうです。

革
革

元々登山やアウトドア用品であるリュックやバックパックには、一般人にとって意味不明なパーツが色々付いています。その中でも最も目に付く「謎のパーツ」といえば、上の方に付いている菱形のレザーパッチでしょう。これはその姿から俗に「ブタ鼻」と呼ばれていますが、実は単独のパーツではありません。ボトムのループとセットで、「ピッケルホルダー」として使うものなのです。

使い方は簡単です。まずブタ鼻にバンダナや短いベルトを通します。次いで、ピッケルの柄を底のループに首まで深く差し込み、ぐるんと上下を逆さまに折り返して、上に来た柄の先をブタ鼻の位置で固定するのです。今ではこの役割が忘れられ、アウトドアの雰囲気を出すための飾りとなっていることが多いですが、元は山男の知恵が生んだ便利な機能だったのです。

革
革

“革のダイアモンド”と呼ばれる最高級革・コードバンを、なんと道具の一部に使用している贅沢な競技があります。それは、2012年のロンドン五輪で女子団体の銅メダルを獲得したアーチェリー。弦を掴む手を保護する「タブ」と呼ばれる器具に使われています。この部分に必要な性質は頑丈さと馴染みの良さ、そして弦をスムーズに放てる滑らかさ。まさにコードバンはうってつけの素材なのです。

ちなみに日本の「弓道」では、弦を持つ手に「ゆがけ」という大きな手袋をはめます。これは「かけ師」という専門の職人が仕立てるもので、鹿革を藁で燻して防虫・抗菌加工を施した「ふすべ革」が使われます。鹿革は薄く丈夫で手にピッタリ馴染み、吸湿性が高いので、「ゆがけ」にぴったりなのです。

革
革

今ではXmasツリーの代名詞となっているもみの木は、昔のドイツや北欧では革を鞣す物質「タンニン」の原料でした。その樹皮には11%のタンニンが含まれ、作った革は黄色っぽい茶色になったそうです。北欧はトナカイ革の産地でもあるので、昔はトナカイの皮をもみの木の皮で鞣していた可能性が大。革とXmasの意外な繋がりが感じられます。

なお、もみの木はタンニンが充分に溜まるまで30年もかかるため、今ではより早いミモザなどに取って替わられましたが、もみの木が「皮鞣しの木」だった名残は言葉に残っています。皮を鞣す物質名「タンニン」の語源は何と、古い高地ドイツ語で「もみ」を指す“tanna(タンナ)”。それだけ、もみの木は「皮鞣し」の印象が強かったのでしょう。

前へ次へ
TOP