革のなるほど vol.3

知れば知るほど、奥が深い革の世界。思わず誰かに話したくなるような、
革などにまつわるエピソードや
まめ知識を連載でお届けします。

知れば知るほど、奥が深い革の世界。
思わず誰かに話したくなるような、

革などにまつわるエピソードや
まめ知識を連載でお届けします。

日本の伝統楽器・和太鼓は、太いバチで力一杯たたかれるという世界有数のタフな打楽器です。その両面に張られているのは、天日干しした後に数ヶ月も寝かせた牛の生皮(鞣されていない皮)。この皮はバチの打撃に耐えられる張りと固さに加え、限界まで伸ばせるしなやかさも持っているのですが、そのポイントは天日干しの前に行われる脱毛の際に、ある日本的な素材を使うことです。

それは、米糖。これを水に溶かして発酵させ、そこに原皮を漬けてバクテリアの作用で毛根を緩めます。すると、原皮の線維と油脂を壊さずに脱毛できるので、太鼓皮としての強度を保つことができるのだそうです。ちなみに、この米糖の主な供給源は酒蔵。酒米の精米で出る糖を二次利用するのです。太鼓と酒がこんなところで繋がるなんて、縁は不思議なものですね。

バイクに乗車する際に着用が義務付けられているヘルメットは、今では軽くて頑丈な特殊樹脂製が主流。でも数十年前には、なんと革製のヘルメットが存在しました。その中で最高級とされたのが、実はバッファローレザー(水牛革)。バイカーの間では、水牛革のジャケットとヘルメットが憧れの的だったそうです。

水牛革は牛革よりも分厚く、強靭(きょうじん)で緩衝性に優れた革素材。体になじみやすく、保湿性も高いのが特徴です。これらの性質が、バイカーの体を衝撃や寒さから守るヘルメットやジャケットにぴったりだったのです。また、表面に細かなシワ模様が無数に走るワイルドな表情も、バイカーの男心をくすぐったのでしょう。ちなみにヴィンテージの水牛革ヘルメットは、今でもオークションで人気が高いそうです。

水分補給といえば、水筒。そのルーツは、欧米や中東では5,000年ほど前にさかのぼるとされます。もともと袋状である動物の胃袋や膀胱が使われましたが、供給不足のためか、次第に革製が普及。中でも重宝されたのは、ヤギ革のものでした。薄くて軽くて丈夫な上に、きめが細かいのがポイント。その微細な線維の間から水が徐々に気化し、内部の熱が奪われるため、保冷効果があるのです。

このヤギ革の水筒はもともと羊飼いの道具でしたが、やがて野外でワインを飲むためのものに進化。英米圏で「ワインスキン」、スペインで「ボタ・デ・ビノ」、バスクでは「サハト」と呼ばれ、今でも使われています。形は元祖・水筒の胃袋型で、飲み口は動物の角。中に植物性の樹脂を塗って止水します。ちなみに、回し飲みするため、飲み口を離し、自分の口めがけてワインを飛ばして飲むのが作法です。

「タンニングマシーン」「タンニングローション」などに見られるように、英語で「日焼け」を「タンニング」と言います。ところが実はこの言葉、元は「皮鞣し」という意味として使われる言葉なのです。「タンニング(tanning)」は「皮を鞣す」という意味の「タン(tan)」から派生した言葉で、皮を鞣す職業を「タンナー(tanner)」、皮を鞣す工房を「タナリー(tannery)」と言います。

“tan”の語源は古代ローマ時代にイタリア北部で話されていたゴール語で、植物の「オーク」を意味するものでした。オークの樹皮は古来より皮を鞣すのに使われていたため、その意味が加わり、さらに革の色が変化していく様子とも似ているため、「日焼けする」の意味も持つようになったようです。なお、植物の渋の成分「タンニン(tannin)」は、「皮を鞣す働きを持つもの」という意味です。

日本の伝統楽器・和太鼓は、太いバチで力一杯たたかれるという世界有数のタフな打楽器です。その両面に張られているのは、天日干しした後に数ヶ月も寝かせた牛の生皮(鞣されていない皮)。この皮はバチの打撃に耐えられる張りと固さに加え、限界まで伸ばせるしなやかさも持っているのですが、そのポイントは天日干しの前に行われる脱毛の際に、ある日本的な素材を使うことです。

それは、米糖。これを水に溶かして発酵させ、そこに原皮を漬けてバクテリアの作用で毛根を緩めます。すると、原皮の線維と油脂を壊さずに脱毛できるので、太鼓皮としての強度を保つことができるのだそうです。ちなみに、この米糖の主な供給源は酒蔵。酒米の精米で出る糖を二次利用するのです。太鼓と酒がこんなところで繋がるなんて、縁は不思議なものですね。

バイクに乗車する際に着用が義務付けられているヘルメットは、今では軽くて頑丈な特殊樹脂製が主流。でも数十年前には、なんと革製のヘルメットが存在しました。その中で最高級とされたのが、実はバッファローレザー(水牛革)。バイカーの間では、水牛革のジャケットとヘルメットが憧れの的だったそうです。

水牛革は牛革よりも分厚く、強靭(きょうじん)で緩衝性に優れた革素材。体になじみやすく、保湿性も高いのが特徴です。これらの性質が、バイカーの体を衝撃や寒さから守るヘルメットやジャケットにぴったりだったのです。また、表面に細かなシワ模様が無数に走るワイルドな表情も、バイカーの男心をくすぐったのでしょう。ちなみにヴィンテージの水牛革ヘルメットは、今でもオークションで人気が高いそうです。

水分補給といえば、水筒。そのルーツは、欧米や中東では5,000年ほど前にさかのぼるとされます。もともと袋状である動物の胃袋や膀胱が使われましたが、供給不足のためか、次第に革製が普及。中でも重宝されたのは、ヤギ革のものでした。薄くて軽くて丈夫な上に、きめが細かいのがポイント。その微細な線維の間から水が徐々に気化し、内部の熱が奪われるため、保冷効果があるのです。

このヤギ革の水筒はもともと羊飼いの道具でしたが、やがて野外でワインを飲むためのものに進化。英米圏で「ワインスキン」、スペインで「ボタ・デ・ビノ」、バスクでは「サハト」と呼ばれ、今でも使われています。形は元祖・水筒の胃袋型で、飲み口は動物の角。中に植物性の樹脂を塗って止水します。ちなみに、回し飲みするため、飲み口を離し、自分の口めがけてワインを飛ばして飲むのが作法です。

 

「タンニングマシーン」「タンニングローション」などに見られるように、英語で「日焼け」を「タンニング」と言います。ところが実はこの言葉、元は「皮鞣し」という意味として使われる言葉なのです。「タンニング(tanning)」は「皮を鞣す」という意味の「タン(tan)」から派生した言葉で、皮を鞣す職業を「タンナー(tanner)」、皮を鞣す工房を「タナリー(tannery)」と言います。

“tan”の語源は古代ローマ時代にイタリア北部で話されていたゴール語で、植物の「オーク」を意味するものでした。オークの樹皮は古来より皮を鞣すのに使われていたため、その意味が加わり、さらに革の色が変化していく様子とも似ているため、「日焼けする」の意味も持つようになったようです。なお、植物の渋の成分「タンニン(tannin)」は、「皮を鞣す働きを持つもの」という意味です。

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